野鳥を高解像に撮影するための鳥種別ピント合わせのコツ




アニマルフォトグラファーのsim(@ssiR01)です。

羽毛の質感まで表現できた高解像な野鳥写真を撮るためには、ピントが正確に合っていないとダメです。

そんな解像度の高い野鳥写真を撮るために、みなさんはピント合わせの設定をどうしてますか?

撮影現場ではピントがバッチリ合っているつもりでもPCで確認してみたら

「ピント位置がズレていて鳥の羽毛が解像してなかったorz…」

みたいなことはありませんか?

実際に作例をひとつ紹介しましょう。

下の作例はどちらも同じ距離感で撮った野鳥の写真です。パット見はどちらも同じくらいの鮮明さで撮れているように見えますが…

ピントの合った写真と甘い写真比較

拡大してみると、ピントが正確に合った写真の方が、圧倒的に羽毛が解像していることが分かると思います。

野鳥写真の解像度とピントの違い

…という具合にピントの精度で、写真の解像具合がかなり違ってきます。

この記事では、僕が普段の野鳥撮影でピントを正確に合わせるためにしているコツを紹介します。

カメラのピント設定

大前提として、ピントは野鳥の目に合わせます

“sim”
人が野鳥写真で最初に見るのは、鳥の目だからね。

だから、目のピントが甘いとピンぼけ写真に見えてしまうんだよ。

では肝心のピント合わせの方法について紹介します。

カメラのフォーカス設定をピントが正確な順に並べてみると、下のようになります。

ピントが正確な順番
  1. シングルAF(S-AF:中央1点)
  2. マニュアルフォーカス(MF:個人差あり)
  3. コンティニュアスAF(C-AF)
  4. エリア追尾AF
  5. 置きピン

この中で、僕が実際に使っているのは次の3つだけです。

  1. シングルAF(S-AF:中央1点)
  2. マニュアルフォーカス(MF)
  3. コンティニュアスAF(C-AF)
“サル君”
理由はあるのか?
“sim”
理由は、次の2つだよ。

  1. 追尾AFは技術的には未完なため、ガチピン写真を撮るのには向いていない
  2. 置きピンでは、正確にピント位置をコントロールできない

経験上、ピントは自分でマメに合わせた方がガチピン率が高い気がするよ。

同じ枝にいる時間が長い野鳥のピント設定

同じ枝にとまっている時間が長い野鳥を撮影するときのピント設定は、シングルAF(S-AF)をメインにマニュアルフォーカス(MF)で保険をかける感じです。

“sim”
S−AFでガチピン写真を撮るコツは、「毎回ピント合わせをすること」だよ。

鳥が同じ場所にいるからといって、決して置きピン撮影をしてはいけないよ。

置きピンだと微妙にピント位置がズレていることがあるからね。

当てはまる野鳥の種類はつぎのとおり。

S-AFで撮る野鳥
ヤマセミ、カワセミ、レンジャク、ツグミ、ウソ、シメ、キビタキ、オオルリなど
“sim”
S−AFで撮影しておいて、余裕があればMFでも撮っておくイメージ。

あとはPCで写真を拡大してピント精度の高い方を採用すればいいだけだよ。

S-AFで撮った作例をいくつか載せておきます。

ウソの作例

ウソのように黙々と木の実を食べ続ける野鳥もS-AFメインで撮ります。

“sim”
なお、MFを使うときは、木の枝が入り組んでいてオートフォーカスではピントが合いにくい時だけだよ。

ヤマセミの作例

ヤマセミみたく一箇所に止まっている時間が長く、そして遠距離からしか撮影できない野鳥は、S-AFで丁寧に毎回ピントを合わせて撮ります。自分の目に自身のある人はMFを多用する方がいいかもしれません。

“sim”
僕は目が悪いので、MFはあくまでも保険扱い。メインは一番精度が高い中央1点のS-AFだよ。

 

よく動くがたまに動きを止める野鳥のピント設定

動いている時間が長く、しかしたまに静止するような野鳥の撮影には、C-AFをメインに使います。

そして、使うチャンスがあればS-AF、枝の入り組んだピントの合いにくい場所ではマニュアルフォーカス(MF)中心に切り替えます。

当てはまる野鳥の種類はつぎのとおり。

主にC-AFで撮る野鳥
シジュウカラの仲間、ムシクイの仲間、メジロなど

C-AFで撮った作例をいくつか載せておきます。

シジュウカラの作例

シジュウカラは終始動いて移動を続けるので、C-AF以外での撮影はまず無理です。

“sim”
C-AFで追いながら、動きを止める瞬間を狙ってシャッターを切る感じで撮影しているよ。

ヒガラの作例

ヒガラはシジュウカラよりも同じ場所にいる時間が少しだけ長いため、シジュウカラほど撮影は難しくありません。

“sim”
でも、終始動き回っていることには変わりないので、C-AFがメインで、MFを使う余裕はほとんどないね。

 

樹上を歩き回る野鳥のピント設定

樹上を歩き回る野鳥は、C-AFをメインにして、枝の入り組んだピントの合いにくい場所ではマニュアルフォーカス(MF)を使っています。

“sim”
でも、ほとんどC-AFだけどね。MFを使う背景が枝で入り組んでいる時って、たいてい絵にならないので鳥がいても撮影しないことが多いよ。

当てはまる野鳥の種類はつぎのとおり。

C-AFとM-AFで撮る野鳥
キツツキの仲間、ゴジュウカラなど

作例をいくつか紹介します。

コゲラの作例

このコゲラくんは枝の込み入った所にいたので、C-AFとMFを切り替えながら撮りました。下の写真はMFです。

“sim”
枝の込み入ったところではオートフォーカスはほとんど役立たずになるので、MFメインに使っているよ。

 

オオアカゲラの作例

下の作例のオオアカゲラくん並に背景が抜けていれば、C-AFの精度も期待できます。

“sim”
背景がスッキリしていれば、C-AFメインの撮影になるね。そして、絵になる写真が撮れるのも背景がスッキリしている場合が多いね。

 

常に動いている野鳥のピント設定

止まっている時間がほとんどない忙しく動き回る野鳥は、ほとんどC-AFで撮ります。枝の込み入った場所はマニュアルフォーカス(MF)を使うこともありますが、よほど技術がないと動きについていくのは無理です。

“sim”
なので、僕は割り切ってC-AFだけを使うようにしているよ。

当てはまる野鳥の種類はつぎのとおり。

C-AFで撮る野鳥
シマエナガ、セキレイの仲間など

作例をいくつか載せておきます。

シマエナガの作例

下のシマエナガの作例は、枝の込み入った場所ではピントも合わないし、絵になりにくいので、鳥さんが背景が抜ける場所に来るまで待ってからC-AFでササッと撮りました。

 

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Long-tailed Tit/シマエナガくん 側頭部に髪の毛を残して禿げ上がったオジサンに見えるのは私だけでしょうか? ISO 125, 400mm, ƒ/5.6, 1/500, -0.7 ev SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 OSS SONY α7RIII #シマエナガ #野鳥 #野鳥倶楽部 #バードウォッチング #北海道 #LongtailedTit #birdphotography #bird #wildbird #birdstagram #birdwatchers #birdlovers #birdextreme #birddogoftheday #bestbirdshots #pocket_birds #birdsofinstagram #eye_spy_birds #your_best_birds #allmightybirds #bird_brilliance #nature_brilliance #nuts_about_birds #nature_worldwide_birds #exclusive_wildlife #birds_adored #YourShotPhotographer #macro_drama #top_macro #best_birds_of_ig

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ハクセキレイの作例

下のハクセキレイの作例は、高速に歩いているところをC-AFで追いながら、鳥さんが動きを静止させる一瞬をねらってシャッターを切りました。

 

まとめ

以上、僕が普段している「野鳥を高解像に撮るためのピント合わせのコツ」でした。

まとめると、下のようになります。

野鳥撮影ピント合わせのコツ
  • 静止している野鳥は『中央1点のS-AF』
  • 動いている野鳥は『C-AF』
  • 枝が込み入ったところにいる野鳥は『マニュアルフォーカス』
  • 置きピンはしない
“sim”
ちなみにすべて手持ち撮影の話だよ。

では

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撮影機材

参考までに、僕の撮影機材も紹介しておきます。

僕は次の3点セットで撮影しています。

使ったカメラとレンズ
  1. カメラボディ:SONY α7R3
  2. 超望遠レンズ:SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS
  3. 1.4xテレコン:SONY SEL14TC

高画素フルサイズセンサーのカメラボディに、400mm相当の超望遠レンズ、1.4xテレコンのセットです。さらに全画素超解像ズーム(デジタルズーム)で2倍の画角にしているので、1120mm相当の焦点距離で撮影しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

動物写真家、ブロガーとして活動中。 属性は他に、博士(農学)、DTMer,ツーリングライダー歴30年。 【問い合わせ】Twitterアカウント宛にDM 願います。 【注意】野鳥の撮影場所についてのご質問はご遠慮願います。