ちきりん氏の著書です。面白くて読みやすく、最近読んだ本の中ではイチオシです。
私たちの周りには、市場化されうる価値の素が、無限に存在しています。「自分には何の才能もない」「会社をクビになったら食べていけない」などと嘆く人は、マーケット感覚がないために、自分の身の回りにゴロゴロと転がっている潜在的な価値の素に、気がついていないだけなのです。
と、この本の最初に書かれているように、自信を無くしてしまった方はきっと元気がもらえると思います。かくいう僕もそのクチです。
「マーケット感覚」というのが、この本のキーワードです。いわゆる「市場の需要がどこにあるのかを見極めること」が成功の秘訣だいうことが、様々な角度から非常に分かりやすく書かれています。
世間一般の仕事術としても応用できそうな内容ですが、趣味で創作をやっている方にも参考になる内容だなと感心しながら読みました。
一方で、伝統的な価値感(もちろん良いものもありますが)について警鐘を鳴らすようなことも書かれています。う〜ん、勉強になります。
人間も、今までは組織に選ばれ(=組織に雇ってもらい)、組織から評価されることを目指す人が多かったけれど、今後は市場に選ばれ、市場から評価されることを目指す人が増えるでしょう。しかし、組織に評価される方法と市場から評価される方法は、大きく異なります。マーケット感覚を身につけるためには、この違いをよく理解し、市場に選ばれる方法に、より敏感になる必要があるのです。
これもそうですね。
組織の評価に慣れた人は、特定の意思決定者の価値観を意識してプレゼンテーションをしたり、ときには直接おべっかを使ったりもします。それらは「人脈力」とか「根回し力」などと呼ばれ、大組織では、そういったことに長けた人が「仕事ができる」と評価されることもあります。 ですが、そんな力をいくら身につけても、市場型の評価が行なわれる世界では、まったく役に立ちません。そもそも市場には、社長や校長のような「決定的な権限を持つ人」が存在しません。意思決定に影響を与えるのは、極めて移ろいやすい意見を持った、不特定多数の人たちです。 この、顔の見えない、多数の市場参加者のニーズを探るのは、組織内の意思決定者1人のニーズを探るより、はるかに大変です。キーパーソンの好みなら、事情通の人に聞いたり、本人を注意深く観察したりすればわかるでしょうが、市場では、1人の人の意見さえ日々変化するからです。
いわゆる「決定的な権限をもっている個人」に認めてもらうよりも、「市場に認めてもらうことの方が大切なのです」的な内容ですね。こういう考え方、とても好きです。
本の帯には書かれいること(下の引用)も興味を惹きますし、実際に本を読んでみて納得しました(笑)。
・ジャパネットたかたはなぜ人気?
・募金や援助こそ弱者を切り捨てる
・羽田の国際線復活の驚きの真相は
・今後は公務員こそ安心できない?
・イケメンが婚活に失敗した理由
・英語の勉強はもう報われない!?
ちきりん氏の理にかなった「マーケット感覚」という考え方に多くの元気を頂きましたので、ぼくの評価は星5つです。