ツーリングライダーの視点で、YZF-R1(2012年式国内仕様)の「魅力」を過去27年間に乗ってきたバイク達と比べてみました。
いったい、バイクの魅力や楽しさは何に起因しているのでしょうか?
YZF-R1の長所と楽しさ
ぼくはツーリング性能やデザインなどを抜きすると次の3点を満たしているバイクが好みです。
- 車重が軽い
- 車体が小さい
- きびきびと動く
R1はこれをすべて満たしていますし、R1の「長所」であるといえます。おまけにとても乗りやすい。
しかし、「乗って楽しいバイクか?」と問われると、特別に楽しいバイクではありません。かといって、とくに不満があるわけでもありせん。
つまり、「バイクの長所=楽しさ」ではないのです。
しかし、R1でツーリングから帰った後は必ず爽快感・充足感でぼくの心は満たされます。この辺りがバイクとの相性との重要なポイントだとぼくは考えています。
これらのバイクの「長所」「楽しさ」「ライディング後の充足感」「短所」を他のバイクと比べてみるとR1の「魅力」が浮き彫りになってくるかもしれません。
過去の乗ったバイク達と比べてみる
YZF-R1の魅力を探るために、最初にR1、次に過去に乗ってきたバイクについて古い順番から「長所」「楽しさ」「ライディング後の充足感」「短所」について書き出して、互いに比べてみました。
いったい、バイクの魅力や楽しさは何に起因しているのか?
1.YAMAHA YZF-R1
意外と長所が多く、短所が少ないバランスの良いバイクです。いわゆる優等生的なバイクですね。
エンジンのキャラクターも低速から高速までバランス良く造られています。
では詳しくコメントしていきますね。
(1)長所
- デザインが良い
- 車重が軽い
- 車体がコンパクト
- エンジンのキャラがおもしろい→クロスプレーンクランクシャフトの独特の加速感とサウンド
- 高機能メーター(気温・燃費などもモニターできる)
- トラクションコントールによる安心感
- 絶対的な運動性能の高さによる安全性能の高さ(加速、減速、障害物の回避など)
- フルカウル車のため、洗車が楽
- 視界が広い(走行中はバイクがほとんど視界に入りません)
- フルカウル車のため、風圧による疲労が少ない
- ゆっくりと走っても不思議とストレスを感じない
(2)楽しさ
乗って特別楽しいわけではないですが、不思議とストレスを感じません。長時間乗っていても不快になることはなかったです。
つまり、ツーリングペースではライダーを不快な気分にさせないキャラといえます。
逆に快楽を味わえるのは、マシンの性格上、クローズドコースでのライディングのような非常識なスピード域になるように設計されていますが、僕の常用速度域ではありませんのでここでのコメントは控えておきます。
(3)ライディング後の充足感
でも、日帰りツーリング程度でも、ライディング後にはバイクに乗ったあとの多幸感・恍惚感を味わうことができます。たとえ、ツーリングペースでもね。
(4)短所・不満なところ
- 前傾姿勢が慣れるまで大変だった
- 荷物の積載性はあまり良くない(シートバックは載るので4〜5泊のツーリングはできます)
2.YAMAHA DT200R
僕のはじめてのバイクで、乗って楽しいバイクでした。性能も身の丈に合っていたし、ツーストロークエンジンなので回せばキビキビと加速してくれました。オフロードバイクなので走る道を選ばなくて、ダートや山道を良く走りに行きました。
浮気しなければ長く乗れるバイクだったと思います。
(1)長所
- 2ストロークエンジンなのでピーキーで瞬発力がある
- 車重が軽い
- ライディングポジションがアップライトで楽
- 未舗装路でも走れる
(2)楽しさ
- エンジンパワーが身の丈に合っていて安心感がある
- ロードをトコトコ走るだけでも楽しい
- 上記2点とライポジの楽さのおかげでツーリングが楽しい
- オフロードが走れて結構楽しい(オフ車なので当たり前か)
(3)ライディング後の充足感
大型バイクでライディングした後に感じる恍惚感のようなものは感じたことがない。当時、バイク歴が短かったためかも。
(4)短所・不満なところ
- 燃費が悪い→ガス欠を経験
- ロングツーリングのときに2サイクルオイルを持参する必要があり荷物が増える
- ルックスがかっこ良くない
- チューブタイヤのため、パンクした時が不安
- ガソリンタンクが小さく、航続距離が短い
3.YAMAHA FZ400R
とにかくデザインが好きでした。ツーリング性能的にも当時は不満がありませんでした。楽しい思い出があまりないのが残念です。
(1)長所
- デザインが良い(主観です)
- 高回転域の瞬発力
(2)楽しさ
とくに楽しいと感じたことはないけど、不満もあまりなかった。DT200Rと比べると楽しさ度はかなり低め。
(3)ライディング後の充足感
大型バイクに乗った後に感じる恍惚感のようなものを感じたことはないですね。
(4)短所・不満なところ
- ライポジの前傾姿勢になれるまで結構つらかった
- レーサーレプリカなので当時は速く走らせないとカッコ悪いという思い込みがあり、それがストレスになっていた。かといってリッターバイクの加速にはついていけない。
4.Kawasaki ゼファー1100
ゆったりツーリング向きのバイクで、見た目が好きで2台乗りました。2台目は火の玉カラーのファイナルエディションです。
良くも悪くも印象の薄いバイクでした。長く乗ると印象も変わってくるのかもしれません。車重が重いのがぼくには痛かったです。エンジンのキャラは「もっさり」で、楽しいという感じじゃなかったですね。
(1)長所
- デザインが好み(主観です)
- ライポジが楽
- 荷物の積載性能が高い
- タイヤが長持ち
(2)楽しさ
初期型とファイナルモデルの2台を乗りました。初期型はそれなりにパワー感があってリッターバイクに乗っているという優越感を感じることができましたが、ファイナルモデルは諸々の規制のお陰で乗って面白ないバイクという印象しかありません。
ゆっくりドロドロと走る分には良いのですが、走っていて楽しいと感じたことはあまりないです。
(3)ライディング後の充足感
ロングツーリングの後に恍惚感のようなものを感じることができましたが、日帰りツーリングで感じたことはないですね。
車重が重いので、ライディングテクニックに長けていないと楽しめないバイクでした。その点、普通のツーリングライダーにはキツイですね。
(4)短所・不満なところ
- 燃費が悪い
- 車重が非常に重い(疲れているときにコカすと起こすのに苦労しました)
- 空冷エンジンとエキバイの洗車が大変
5.Kawasaki ZZR1100D
かつてのKawasakiのフラッグシップに恥じないあらゆる点において高レベルでバランス良く造られた名車です。エンジンのキャラクターが際立っているバイクです。
(1)長所
- デザインに貫禄がある
- 当時誰もが知っていた量産車世界最速性能
- 燃費が意外に良い
- 荷物の積載性能
- カウルが良くできていて、雨や風圧からライダーを守ってくれる
- オンロードであれば、オールラウンダー的でどんな道でも走りやすい
- フルカウル車のため洗車が楽
(2)楽しさ
低速域から高速域まで、不思議と乗って楽しいバイクでした。きっと諸々の性能が高次元でバランスしたバイクだったと思います。もう、名車といっても過言ではないかと…。
加速時のサウンド(ラムエアや排気音など)も堪能的でライダーの心を刺激してくれました。
(3)ライディング後の充足感
味わえます。ライディング後は気分が恍惚となりました。これはちょい乗りでもそうです。
エンジンパワーのある大排気量の重量車はだた流しで乗っているだけでも、無意識に緊張させられますので尚更ですね。
(4)短所・不満なところ
- 車重が重い
- 車重とハイパワーのせいで、タイヤライフが短い
- 意外と荷物の積載性が悪い
- 量産車最速の肩書と性能がストレスになることが多々ありました。
6.DUCATI M900S4
長所も短所も際立っていて、さすがDUCATIといった感じです。短所が許せるのであれば良き相棒になれたかもしれません。
エンジンは加速している時は面白いですが、それ以外は乗っていて疲れるキャラクターです。ちなみに渋滞路では半クラを使わないと1足でもノッキングします。
(1)長所
- イタリアンデザインが美しい
- 車重が軽い
- 車体がコンパクト
- 独特の加速感
- 燃費が意外と良い
(2)楽しさ
乗って楽しいバイクでした。加速しているときの楽しさは過去に乗ったバイクの中で一番です。ただし、ゆっくり流すような走りは苦手で、乗り味も退屈なものに一変します。
(3)ライディング後の充足感
乗ったあとの多幸感というか恍惚感は味わうことができます。
(4)短所・不満なところ
- よく壊れた
- そのため、ロングツーリングには恐ろしくて行けなかった
- 荷物が意外と積めない
- 工業製品としての完成度が国産バイクと比べて著しく低い
7.Kawasaki W650
バランスの良く造られた名車です。乗って楽しいバイクですが、今回書きだした項目からはこのバイクの楽しさを表すことはできなかったようです。おそらくはZZRと同じくエンジンのキャラクターが際立っているからだと思います。
(1)長所
- 燃費が良い
- 車体がコンパクト
- 車重が軽い
- ライポジが楽
- 視界が広い:これ結構重要です(視界にはメーターが少し入る程度)
- デザインが良い(各パーツのデザインも美しいです)
- 荷物の積載性能が高い
(2)楽しさ
乗り出した瞬間から理屈抜きで楽しくて、いつもでも走り続けたくなるバイクです。
ゆっくりと走っても楽しいので、景色を眺めながらのツーリングを楽しめます。
ロングツーリングに出かけるときのワクワク感も過去に乗ったバイクで一番です。名車ですね。
(3)ライディング後の充足感
乗ったあとの多幸感や恍惚感を味わうことができます。
(4)短所・不満なところ
- タイヤライフが短い
- チューブタイヤのため、パンクしたときが不安
- 空冷エンジンとエキバイの洗車が大変
- 特定の速度域では、ミラーが振動で見えない
まとめ
こうしてみるとバイクの楽しさ・魅力は、エンジンのキャラと車体とのバランスが重要なファクターになっていますね。
エンジンパワーや性能の高さはあまり関係ないことも確かです。
デザインも楽しさを演出してくれますが、デザインが良くても楽しくないバイクもありました。
過去に乗ったバイクと比べるとR1にはR1の良さがあることに気づきます。長所が他のバイクと比べてダントツに多いのも特徴でしたね。ZZRやW650に並ぶ名車ですね。さすがヤマハのフラッグシップです。
ぼくの実感としてはR1のツーリング性能はZZRやW650より劣る感じがしていません。カウリングと車重の軽さなどが、そのように思わせているのでしょう。
以下、YZF-R1のまとめ記事です。