アニマルフォトグラファーのsim(@ssiR01)です。
野鳥や動物撮影をはじめて、二ヶ月間、OM-D E-M5 Mark2を使ってきましたが、AF性能に不満があって最新のフラッグシップ機であるOM-D E-M1 Mark2を買い足しました。
超望遠レンズも含めると総額50万円の撮影システムになってしまったわけですが、この高額なシステムに至った経緯・理由・動機などを書いておきます。
野鳥撮影は機材ありきの世界だった
実際、野鳥撮影の世界に足を踏み入れてみて、それなりの機材を揃えないとスタートラインにすら立てないことをこの2ヶ月間で思い知らされました。
最初は、今ある機材でなんとかしようと貧乏くさいことを考えていましたが、次の2つの壁にぶつかって総額50万円もの投資を機材にしてしまいました。
その2つの壁とは…
- 焦点距離
- オートフォーカス性能(AF性能)
この点について、もうすこし少し解説を加えてみると…
野鳥撮影に必要な焦点距離
野鳥撮影には換算600mm以上は必要です。
僕は換算420mmで頑張ってましたが、5m以内に被写体が来ないとまともな写真が撮れませんでした。
リスや動物園の動物は換算420mm以内の焦点距離でも、それなりに撮れます。
しかし、野鳥はムリでした〜(泣)
野鳥は、そもそも被写体が小さいのでトリミングが前提になります。その結果、換算420mmの望遠レンズでは画質の悪い作例しか得られなかったです。
たとえば、こんな感じです↓
この鳥は高い木のてっぺんに止まっていたので、超望遠レンズがあってもキレイにとれたかどうか疑問ですが、上の作例はあまりにクオリティが低すぎました。
これが5m以内に被写体がいて、なおかつサイズの大きな鳥であれば420mmの焦点距離でもキレイにとれます。例えば、下の写真がそうです。
でも、野鳥がこの距離に来てくれることって稀なんですよね。
野鳥撮影に求められるオートフォーカス性能
カメラのオートフォーカス性能も重要です。
オートフォーカスが迷っている間に飛んで逃げられると写真どころではありません。
例えば、下の例ですね。
今日の真駒内公園(札幌)
オオルリとあちらこちらで遭遇したが、AFが迷っている間に逃げられるいつものパターンでしたw pic.twitter.com/j6rSNdZyrt— sim (@ssiR01) 2017年6月3日
僕はこのパターンでずいぶんとシャッターチャンスを逃してきました。
つまり、一瞬でAFが合焦しないと、次のような不幸に見舞われるわけです。
- 被写体に逃げられて写真が撮れない
- 撮れたとしてもピン甘か失敗写真になる確率が高い
超望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」の導入
超望遠レンズが野鳥撮影に必要なわけは上に書いたとおりです。
予想通り、超望遠レンズを買って焦点距離(射程距離)が伸びたことにより野生動物の撮影が格段に楽になりました。
なぜ、このレンズを買ったのか?ですが…
理由は3つほど
- はじめはE-M5 MK2を買い換える予定はなかったので、マイクロフォーサーズ規格で探していた
- 競合製品のパナライカ100-400mmでは、オリンパスボディではレンズ性能とカメラ性能が100%発揮できない
- 耐低温性のマイクロフォーサーズ超望遠レンズはオリンパスの300mmしかない
というわけで、オリンパスのボディにこだわると、超望遠レンズは300mm F4.0 PRO一択だったわけです。
なかでも耐低温性は重要で、道民の私にとっては選択の余地がありませんでした。
お値段は約30万円と高かったですね〜!
でも無いと撮れないので、思い切って買いました。
ボディを買い換える前提で考えれば、もっと安価で高性能なシステムがあったかもしれません。
これについては、下の方で言及します。
カメラボディ「OM-D E-M1 Mark2」の導入
E-M5 MK2が動体撮影には向かないことを、この2ヶ月間で身をもって理解しました。
理由は先にも書いたとおり、AF性能が圧倒的に不足しているからです。
野鳥がファインダーに入っても、なかなかピントが合わないので飛び去られてシャッターボタンすら押せないシチュエーションがあまりにも多くありました。
これではあまりに機会損失です。さらにはこれが時間の無駄だと悟るに2ヶ月も要した事自体が時間の無駄でありましたが(笑)
このような経緯があって、やっと高性能なカメラボディを導入する決心がついたわけです。
すでにオリンパスの300mm(換算600mm)の超望遠レンズに30万円の投資をしてしまった後だったので、ボディも必然的にオリンパス製の動体撮影に優れた機種「E-M1 MK2」になったわけす。
こちらもお値段約20万円と痛い出費でした。
カメラボディ「OM-D E-M1 MK2」に期待したこと
なので、E−M1 MK2に期待していることは、第一にAF性能です。
E-M1 IIは高速AF・高速連写が一番の売りなので、かなり期待していますが、これらの機能を使いこなすには習熟期間が必要ですね。
あと、センサーが高画素化したことにより、トリミングに強くなっていることも期待しています。
オリンパスのシステムで一番不安なのが、マイクロフォーサーズ規格の豆粒センサーですから(笑)。
豆粒センサーゆえに、「フルサイズやAPS-Cと比べて画質が著しく劣るのではないか?」「写真のクオリティが商業写真 に耐えられないのではないか?」というのが一番の心配事項なんですよね。
下の図はオリンパスのEM1-IIの説明ページにあったものですが、フルサイズと同等の高画質だと謳っています。これが本当ならトリミングの多い野鳥撮影では願ったり叶ったりです。
でも、ホントにそうなのかな〜(笑)
機材は他の選択肢が無かったのか?
機材をゼロから揃える前提でしたら、もっと良い選択肢がありました。
へたに過去の資産を活かそうなどと考えたばかりに、もしかしたら最良の選択を逃した可能性があるので、もし、みなさんが野鳥撮影の機材を揃えるときは過去にこだわらずゼロベースを検討することを強くオススメします。
プロの動物写真家は「キヤノンやニコンで揃えるのが簡単だ」といってるので、やはりこの二大ブランドが王道なのでしょう。
ただし、キヤノン・ニコンで最高の機材を揃えると数百万円の世界なので、適当なところで妥協できない人には辛そうです。
軽量コンパクトということでは、フジのAPS-Cミラーレスでシステムを組むと30万円台でレンズ・ボディともにフラッグシップ機が買えます。
このシステムで野鳥撮影をしているプロカメラマンがいるので、かなり信頼性も高いのではないでしょうか?
下のYouTubeがそのプロ写真家の本橋丈先生がフジのシステムで野鳥を撮っている動画です。
このフジのX-pro2(のちにX-T2に変更)と100-400mmの超望遠レンズはともに防塵・防滴・耐低温性で、なおかつ軽量なので北海道在住の僕の撮影スタイルにも合致しています。
ちなみのそのシステムはこちらになります↓
キヤノン・ニコンはレンズ設計がフルサイズが基準なので、どうしてもシステムが大きく重くなってしまいます。
なので、僕はキヤノン・ニコンは最初から選択肢に入れてませんでした。
で、軽量コンパクトにこだわってオリンパスに行き着いたのですが、このときフジのことをすっかり失念していたのですよね。
もし僕がゼロベースで機材選定を考えていれば、上に紹介した動物写真家の本橋丈先生が愛用されているフジのシステムを選んでいた可能性が高いです。
「OM-D E-M1 Mark2」のインプレを少しだけ
EM-1 MK2が届いた翌日、早速いつもの真駒内公園にテスト撮影に行ってきましたので、その感想を少し書きます。
この日は野鳥が撮影可能範囲になかなか来なくて、かろうじて撮れたのが下の写真のシジュウカラのみでした。
これでも10mくらいは距離があったので、デジタルテレコンも効かせて換算1680mmの焦点距離で撮りました。さらにトリミングしています。
ISO感度を下げるのを忘れていたので、画質は粗め、なおかつよく見るとピン甘でした(汗)
だけど、ジャスピンで取れれば、なかなかの解像感です。
実際、E-M1 MK2を使ってみての感想は以下のとおりでした。
- 合焦スピードはE-M5 MK2より確かに速い
- AFが迷うことはあるが、E-M5 MK2よりは良くなった
- 暗い環境で被写体をジャスピンでシャープに撮るにはカメラに習熟する必要あり
- 歩留まりはE-M5 MK2と比べて明らかに上がった
いずれにしてもカメラまかせで素晴らしい写真が撮れるわけではないことがわかったので、E-M1 MK2の練習のために被写体に困らない動物園通いをする予定です。
追記:使用1週間レビューを書きました
E-M1 Mark2とED300mm PROレンズを1週間使ってみて、自分の野鳥写真のクオリティが明らかに上がったので、その辺のところをレビューしました。
もっと、はやくに買うべきでしたね(笑)
【参考記事】野鳥撮影でE-M1 Mark2とED300mm f4 IS PROの実力は1週間で体感できる
まとめ
野鳥撮影のために、E-M1 MK2と300mm超望遠レンズを導入し、焦点距離とAFスピードの点でやっとスタートラインにつけました。
このマイクロフォーサーズシステムが野鳥撮影に使えるのかについては未だ懐疑的ではありますが、フィールドで気長に実験していく予定です。
では