ぼく達の世界から5分ずれた別の世界のお話。 これだけだと、中二病的な設定のラノベを想像してしまいますが、ツンなお姉さんもメイドさんも登場しません。
リアルな描写が生々しいかなりハードな戦争ものです。
扱っているテーマもハードです。
「あなたにとっての最優先事項とは何か?」という問いかけが、この小説の主題になっています。
小説自体の長さが短くて、展開が速いので村上龍さんの本の中では比較的読みやすいです。
Contents
世界観
舞台は時間軸が5分間ズレた日本で、この世界では日本は太平洋戦争でポツダム宣言を受け入れず、まだ戦争を続けているという設定です。
ただし、日本の人口は26万人まで減っていて、地下深くにトンネルを掘って暮らしており、地上は移民と国連軍で混血化が進み人種の坩堝化しています。
そんな世界にまぎれこんでしまった一人の男性の話です。
日本人のほとんどは兵士として国連軍とのゲリラ戦を展開していて、それがやたら強いので世界中からスーパースターのように憧れられています。
そして、この本には敗戦後に日本人が忘れてしまった大切なことが書かれています。
人生の最優先事項について考えさせられる
この本を読んだのは10年以上も前ですが、ぼくの価値観に大きな影響を与えました「貴方にとって一番優先すべきこと・大切なことは何ですか?」という問いへの答えのヒントがこの本の中にはつまっていました。
この本の中では、「生き残ること」が人にとっての最優先事項だと強く訴えかけています。
僕自身も強く影響されてつい最近まで「サバイバルこそが最優先事項だ!」をポリシーに生きてきました。しかし、このことを他人に話して理解されたことは一度もありませんが(笑)
最近では価値観がかなり変わりはしましたが、やはり、最後にはこの本に書かれている最優先事項に戻るような気がしますね。
さいごに
村上龍さんの小説はクセが強いの読者を選びますが、その中で、ぼくの一番のオススメ本です。続編のヒュウガウイルスもおもしろいです。
戦争ものですので、グロでリアルな描写がたくさん出てきますのでそういうのが苦手な方はやめておいた方がいいかも…