sim(@ssiR01)です。
初音ミク(V4X)で「真夏の果実」のカバー曲を作ったので、そのときの調教メモを書いておきます。
今回、ピアプロスタジオ(PiaproStudio:ボカロエディター)行った調声は、ダイナミクス(音量カーブ)とベロシティ(子音の長さ)と、他少々です。
DAW側ではしっとり系の空間系エフェクトとEQ、そしてコンプをガッツリとかけてみました。EQとコンプは「音圧アップのためのDTMミキシング入門講座!」を参考しています。
この記事では、ピアプロスタジオ(ボカロエディター)での調教方法について書きました。
Contents
投稿動画
YouTubeとニコニコ動画に投稿した動画を貼っておきます。マスタリングは両方とも同じです。音圧低めで作りましたので、物足りない方は音量を上げて視聴して下さい。
PiaproStudio(ボカロエディター)について
PiaproStudioは初音ミクを買ったら付属してくるボカロディターです。
WindowsとMacの両方で使えます。まめにアップデートしてくれているので、だんだんと使いやすくなってきてますね。
安定と機能を求めるならWindowsでVOCALOID Editorを使うか、Macでボカキューを使った方がいいのでしょうが、僕はMacでLogicを使っているのでボカロエディターはPiaproStudio一択です。
ダイナミクスとベロシティー調節
ワンコーラス分の編集画面を出すとこんな感じで調声しています。
V4Xの正式版になってからは非常に優秀ですので、ここまでする必要はなかったかもしれません。というは、この調声はV4Xベータ版で行ったものだからです^^;

ダイナミクス
まずはダイナミクスから解説していきます。
ダイナミクスはボーカロイドエディターでは音量を調声するパラメーターです。
実際にやったことを書き出してみると主に次の4つです。
- サビの部分は高め
- フレーズの終わりは徐々に下げる
- 歌い出しは高め
- 滑舌が悪い箇所は直前のダイナミクスを50%付近まで下げる
もう少し詳しく解説すると…
サビの部分の音量
そのままだと、オケにミクのボーカルが埋もれてしまってイマイチ盛り上がらないので、サビの音量高めに設定しています。
ただ、これはDAW側の音量オートメーションカーブでもできますので、ここでやる必要はないかもしれません。ただ今回、ボカロエディター側の音量増加では足りなくて、DAW側でもサビは音量2dBほど上げています。
他にはサビの部分だけトラックを2つ重ねて音量調節する方法も過去に有効だったこともありました。
フレーズの終わりは音量を徐々にさげる
これはみなさん普通にやっていることだと思いますが、音量カーブの形が歌い方に結構影響してきます。ちなみ僕が今回多用したダイナミクスのカーブ形状は下のような放物線形状のカーブです。曲によって、微妙に違いますが、今回の曲にはこの形状が一番合っていました。

歌い出しは音量高め
歌い出し部分だけを音量高めにすると、トラック全体が大きく聴こえるようになることが「エンジニアが教えるミックス・テクニック99」に書かれていましたので、所々そうしています。この方法は効果が体感できて良かったので毎回使っている技です。

滑舌が悪い箇所のダイナミクス設定
これもケース・バイ・ケースですが、滑舌が悪いときにはまずはベロシティーを下げてみて、それでも改善されなかった時に、この方法を使っています。とくに「ま行」と「な行」と「ら行」は滑舌が悪くなりがちですので多用しました。
方法としては、直前のダイナミクスを50%以上下げて、場合によっては音符頭を瞬間的に上げると改善されることが多いです。
V4Xではこれがかなり改善されているので贅沢を言わなければここまでしなくていいと思います。
一応使用例を載せておきます。

ベロシティーによる子音の発声の調声
これは非常に一般的な方法で、「ボーカロイド公式 調教完全テクニック」に書かれているとおりです。
この方法を使うシチュエーションは2種類で、1つは「音符の滑舌が悪いとき」、2つ目は「跳ねた感じに発声させたいとき」です。
滑舌が悪くなるのは、とくに「な行」、「ま行」、「ら行」です
方法自体は簡単でベロシティーを適宜下げるだけです。下げすぎると不自然になりますので、バランス感覚にご注意を。
下の例では、「こらえっきれなくってえー」のフレーズををベロシティーで調声しています。

続いて、ビブラートの設定とV4Xで新しく実装されたアクセントとボイスカラーについて
ビブラートの設定
これについては自分でピッチカーブを書くような凝ったことはしていません。あくまでもプリセットのビブラートの種類を選んで長さを調節する程度です。
僕のビブラートの調声ポリシーは、「最初にビブラートを多めに加えていって、後から聴いて不自然な箇所を控えめにする」という至ってシンプルなものです。
使っているビブラートの種類はたったの2種類で「Nomal:Type1」と「Slight:Type1」のみです。他も試してみましたが、あまりシックリ来なかったので今のところコレだけ使っています。まだ研究の余地はありそうですが…

控えめにする方法は、最初にビブラートの長さを調節してみて、それでも不自然な場合にはビブラートの種類をNomalからSlightに変えています。それでも駄目ならビブラートなしです。
ビブラートに関しては、僕が使っているDAWのLogic Pro Xでは「Flex Pitch」という機能を使えば、ビブラートの長さと振れ幅の調整がかなり細かくできますので、最終的に納得の行かないところはLogicで調整しています。
アクセントとボイスカラー
アクセントについてはV4Xになってからかなり細かく調整できるようになりました。加えて、ボイスカラーを音符ごとにノーマルから「Soft」と「Power」に変えることができるようになりましたので、これらを組み合わせて自分のイメージする声色を作り込みました。
この各パラメータの組み合わせについては、今のところ法則性を掴むことができていませんので、気になる音符は片っ端から組み合わせを試して一番良かったものを採用する方法をとりました。

例えば、上の例の「が」の発音では、アクセントを「Mild/Soft」+子音拡張「x2」、ボイスカラー「Soft」に設定しています。
「が」の発音は、「ん」「が」と打ち込むと人間が歌っているような発音に近づくのですが、今回はアクセントマイルドとソフトボイスを使っています。
その他
ジェンダーを55付近に設定してロリボイスっぽくしているのと、子音分割と「ん」「う」を使った滑舌調整法など駆使しました。
- な行・ま行の子音の直前に短い音符(例えば1/64音符)で「ん」を入れる
- わ行の直前に短い音符(例えば1/64音符)で「う」入れる
他にはクロスシンセシスやグロウルなどの新機能がV4Xには盛り込まれていますが、どういうシチュエーションで使ったらいいのかイメージできずに今回は使わずじまいとなりました。
さいごに
初音ミクV4Xは、V3時代と比べる飛躍的に性能が上がっていますのでベタ打ちでもかなり上手に歌ってくれるようになったのが嬉しい限りです。V4Xならではのクロスシンセシスなどの新機能を使わなくても、その性能は体感できましたよ。
では